中古不動産で利用したいホームインスペクションとは

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2018年4月から、中古不動産の売買の際にホームインスペクション(住宅診断)を行ったかどうかについての説明などが義務化されました。最近よく耳にするホームインスペクションとはどのようなものなのか、説明します。

ホームインスペクションとは

ホームインスペクション(住宅診断)とは、ホームインスペクター(住宅診断士)が住宅の劣化状況や欠陥があるかどうか、改修の必要性とその時期、その際に必要となる費用などを診断してアドバイスを行うものです。

ホームインスペクターが専門家として、第三者の立場から診断することで、買い主・売り主ともに住宅の現状を理解したうえで不動産の取引を行うことができます。

買い主も売り主も個人の場合、建物の劣化状況を自分で判断することはとても難しく、後々のトラブルにもつながりかねません。そのため、ホームインスペクションを利用することで、双方が安心して取引できることが期待されています。

ホームインスペクションで診断するもの

実際に診断するものはどのような部分になるか、一戸建て住宅の場合で見ていきます。

外周りの状態
基礎・外壁・屋根・軒裏・雨どい・外部金物・バルコニーなどのひび、欠損、水しみ跡、鉄筋の露出、変退色、さびなど

室内の状態
床・天井・階段・サッシ・ドア・シャッター・雨戸などの割れ、はがれ、欠損、めくれ、腐食、床鳴り、かび、動作不良など

床下の状態
土台および床組・基礎および床下面・束の割れ、腐朽、虫食い、さび、欠損、木くずの堆積、ゆるみ、浮きなど

小屋裏・天井裏の状態
梁(はり)・桁・小屋組および野地板・各階間の天井裏・下屋小屋裏の割れ、腐朽、虫食い、湿り気、金物の著しい不足、ゆるみなど

設備の状態
給水設備・給湯設備・排水設備・換気設備の水の著しい変色、漏水、劣化、排水不良、つまり、著しい堆積物など

ホームインスペクションの費用

ホームインスペクションの費用は、診断を行う会社によっても異なりますが、おおよその目安は、5~6万円前後となるようです。別途、特別な機材を要する診断の場合は、10万円以上かかることもあります。

確認すべき箇所が多岐にわたるため、費用もそれなりに必要になります。しかし、先述したとおり、物件の詳細状況は個人で判断するのはとても難しいものです。購入後のトラブルを回避するためにも、ホームインスペクションを利用したほうがよいと言えるでしょう。

ホームインスペクションの注意点

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建物の状態を正しく診断してくれるホームインスペクションですが、診断士の能力や信頼性も気になるところですよね。

信頼できるホームインスペクターに依頼したい場合は、現場経験が十分にあり、工事の工程や管理などにも熟練している診断士を選ぶことが理想的と言えます。ホームインスペクターは中立的な立場で正確に診断することが前提ですが、経験値が影響する可能性も否定できないでしょう。

依頼先は不動産会社から紹介された会社にする場合と、自分で探す場合があります。その際は信頼できるか、実績はあるかなども確認しておくとよいでしょう。

中古不動産は「見えにくいリスク」を抑えることが大切

(写真=silverkblackstock/Shutterstock.com)

中古不動産は、好条件の物件を新築よりも安く購入できる可能性があり、メリットも多く感じられます。実物を確かめられるという点では、新築よりも確実性があります。とはいえ、中古不動産だからこそ、見えない不具合が隠れていること、劣化の判断を誤る場合があることに注意が必要です。

売り主のほうも、建物の状態のすべてを把握していることは少ないため、予想していなかった不具合がある可能性もあります。その点、お互いが安心して取引を行う手段の一つとして、ホームインスペクションを利用するという選択は有効です。中古不動産で失敗したくないという方は、検討してみてはいかがでしょうか。

文・岩野 愛弓(住宅・不動産ライター、宅地建物取引士)/DAILY ANDS

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