前回、暗くてよく見えなかったのでドラマオリジナルのコンプレッサー銃だと思っていた“始末屋さん(フェルナンデス直行)”の武器ですが、よく見たらシンプルな高圧式のネイルガンでしたね。大工さんが日常的に使っている釘打ち機だ。ますます好きになりました。

 というわけで、ゴリゴリの香港ノワールオマージュドラマ『潜入兄妹 特殊詐欺匿名捜査官』(日本テレビ系)も第2話。静止画による前回のダイジェスト、赤い筆文字で「全員犬死62時間前」と大書きされたり、むやみに中華鍋から炎が上がったり、今回もオマージュ捧げまくっています。超楽しい。

 振り返りましょう。

■すぐ解決、すぐピンチ

 前回、「警察の犬」であることがバレたキイチ(竜星涼)とユキ(八木莉可子)の潜入兄妹。さっそく始末屋が背中に立って引き金を引きますが、間一髪かわすとあっさりネイルガンを奪い取るキイチ。ガンを向けられた始末屋はエアポンプを持ったままですので、ホースを引き抜けばキイチの持っているネイルガンは無力化できますが、そんな無粋なことはしません。なぜなら香港ノワールにおいて男たちは、銃を向け合って膠着しなければならないからです。

「説明させてくれ……!」

 キイチはオンラインでつながったままの玄武(吹越満)に「手土産を持ってきた」と言います。警察にわざと捕まってユキがデータベースをハッキングし、県警の捜査資料データを盗み出してきたと言います。

 これを信用したわけではないが、玄武はキイチたちにチャンスを与えます。3日で5,000万円を用立てしてこい。できなければ殺す、連帯責任でハコごと全員。

 こうしてピンチを抜け出し、またすぐピンチが訪れる。このスピード感。水たまりに膝をついて「あの玄武ってやつ、狂ってる……」とつぶやくユキのメランコリー。「大丈夫だ、俺が守る……」と肩を抱くキイチとの絆。劇伴のコントラストとカメラの揺れさえあれば、登場人物の心理描写はたった一言で片付いていく。そうして開始たった5分で、今回の課題である「3日で5,000万円を作る」という無理難題に向き合う準備が整います。