――実際にネットで批判的な意見が飛んでくることはありましたか?

なかがわ:批判的な意見は、意外にも少ないですね。ただ、ブログに「将来はどうするんですか? このままだと曖昧な人生になりそうですね」といったコメントをいただいたことはあります。心配して言ってくださっているんだろうとは思うのですが……。

――袴田事件への主張に関する批判でもないし、複雑な気持ちになりますね……。ちなみに、袴田さんの支援活動では、幅広い年齢層の同世代の方もいらっしゃいますか?

なかがわ:1人だけ、30代手前の方がいらっしゃるくらいで、若くても50代、60代の方々がほとんどです。可愛がっていただいていますし、人生経験豊富な方々に囲まれる環境で、学ぶこともたくさんあります。特に、再審決定の決め手にもなった「味噌漬け実験」(犯行時の着衣とされた衣類を味噌に漬けて血痕の色変化を検証した実験)を実行した支援者の山崎俊樹さん(袴田巖さんを救援する清水・静岡市民の会)や、小川秀世弁護士(弁護団の事務局長)をはじめとする、支援者・弁護士の方々の行動力には影響を受けて、今も交流する機会がありますし、私も「使命感を信じて、思い立ったら行動しなければ」と励まされました。

――たくさんの方々に影響を受けて、そばで見守るご両親からも「変わった」と言われそうです。

なかがわ:明るくなったと言われます。寛解とまではいかないんですけど、うつ病だった私が接客のアルバイトへ行けるようになったほどで、変化には自分も驚いています。うつ病で一番ひどかった当時は、まともに起きられなかったし、気持ちも真っ暗な中で、将来にずっと不安を抱えていたんです。でも、袴田事件に関わって目の前の世界が明るくなったし、様々な背景を持つ支援者の方々とのふれあいを通して、長い人生で「好きなことを追い求められたら」と前向きになりました。

――現在は24歳ですが、ご自身と同世代の方々に伝えたいメッセージはありますか?