1966年、静岡県清水市で一家4人が惨殺された事件で死刑が確定した袴田巌さん(以下、巌さん)のやり直し裁判で静岡地裁が無罪を言い渡したことを受け、検察トップの検事総長は2024年10月8日、控訴しないことを明らかにしました。

 半世紀にわたり死刑囚として生きてきた巌さんの無罪が確定したニュースは、大きく注目されています。

左から中川真緒さん、袴田ひで子さん、袴田巌さん
左から中川真緒さん、袴田ひで子さん、袴田巌さん(以下、写真はすべてなかがわさんの提供)
 そして、長きにわたる戦いの背景には、巌さんの支援者の存在もあります。静岡県清水市で暮らす、“なかがわ”(X:@m_nkgw2000)こと中川真緒さんも、その一人です。

 無罪判決が下された当日には、Xで巌さんとのツーショット写真を投稿し話題に。「今の私にとって袴田事件は人生そのもの、ライフワークです」と笑顔を浮かべるなかがわさんに、自身の転機を尋ねました。

※このインタビューは検察側が控訴を断念することが報道される前に実施しています

◆袴田事件を通じて注目され“息切れ”も

――静岡地裁で袴田巌さんの無罪判決が出て以降、10月6日に自身のXで「実は少し息切れもしています」とポストされていたのが気になりました。

なかがわ:周囲から褒められたり、期待されたりすることが多くなり「そんなにできた人間じゃないのに……」と、恐縮する思いからのポストでした。静岡地裁での無罪判決があり、袴田さんとのツーショット写真をアップした日には、Xのフォロワーさんが300人も増えたんです。それもあって、ちょっと自分を見失ってしまったというか。でも少しずつ、自分のペースをつかめるようになってきました。