――心配でしたので、ホッとしました。袴田さんの支援活動をはじめ、現在はどのような生活を送っているのでしょう?

なかがわ:実家暮らしで、週1~2日程度はアルバイトをしています。生活の中心は袴田さんの支援活動で、親のすねをかじりながらも好きなことをやらせてもらっています。支援活動について、親も応援してくれているんです。本音ではちゃんと働いてほしいと思っているかもしれませんが、うつ病で何もできない時期もあったし、一歩前進したと捉えてくれているのかなと信じたいです。

◆興味をかきたてられ裁判を傍聴したのが転機に

――生活の中心になっている袴田事件と関わりはじめたきっかけは?

なかがわ:昨年、大学卒業後の夏に就職しないでダラダラした生活を送っていて、ふと、興味のあった裁判の傍聴に行ってみようと思ったんです。その公判が、袴田事件でした。当初は、冤罪事件であることしか知らず、せっかく傍聴へ行くならと思い、事前に深く知るために文献などを読んだんです。

何事ものめり込むと、手当たり次第に調べなければ気が済まない性格で、図書館にあった袴田事件に関する文献や事件当時の新聞、ネット上にある情報もひと通りチェックしてから、裁判所へと向かいました。地元の静岡県清水市で起きた事件だったのもあり、使命感に駆られていました。

――人生で初めて見た法廷は、どのように映りましたか?

なかがわ:世間的にも注目されている事件でしたし、警備体制が厳重だったのは強く記憶に残っています。ドラマのように、検察官と弁護士がたがいの主張を激しく言い合うわけではなく、書面を粛々と読み合って公判が進行していくのは意外で、ギャップも感じました。

――もともと、事件や裁判には興味があったんですか?

なかがわ:野次馬的な気持ちがあるのか、袴田事件に限らず、過去に起きた事件のルポルタージュやWikipediaを読むのが好きだったんです。なかでも、清水潔さんの『桶川ストーカー殺人事件―遺言―』は忘れられない一冊で、ジャーナリストとしての姿勢を尊敬しています。