定期的で継続的な投資では手数料負担が積み上がる

ドルコスト平均法では、1カ月ごとなど定期的に中長期にわたって金融商品を購入する。少額から始められるのが売りの積立投資信託の場合、積立を継続する限り、毎回の購入価格が安くてもそのたびに手数料が掛かってしまう。こうして、相場環境に関わりなく毎回発生する各種手数料が大きければ大きいほど利益を圧迫してしまう。

ましてや、相場が悪いときや右肩下がりの局面にあるときは、手数料が積み上がってマイナスばかり増えてしまい、場合によっては元本割れリスクも出てしまう。こうなると、手数料が1回限りで安く済む分、一括購入したほうが有利になる。

定期的で継続的に発生する手数料は、価格が右肩下がりの場合、ドルコスト平均法のネックとなることを覚えておくべきだ。

場合によっては、損失の最小化のため他の選択肢も検討する

メリットもあるドルコスト平均法だが、前述のように価格の変動によって明らかに一括購入より不利になる、または利益が出ない場合がある。まとまった期間積立投資を継続し、相場がある程度読めるようになってきた、または投資の感覚に慣れてきたならば、場合によっては他の方法への切り替えを検討するのもよいだろう。

このままでは損失が拡大する一方だ、ドルコスト平均法のままではどうしても利益が出ないと判断した場合、思い切ってドルコスト平均法のぬるま湯から抜け出して、相場を見ながら一括購入に切り替えるバリュー平均法(一定額を積み立てるのではなく、相場の状況に応じて購入額を変動させながら積み立てる手法)を取り入れる、別の金融商品に乗り換えるなどの方法を検討すべきだろう。

もっとも、ドルコスト平均法は長期間継続することで価格変動リスクを低減できる仕組みなので、価格の回復を信じてその後も10年、20年という長期にわたって地道に積立を継続するのも選択の一つだ。

積立開始以来、価格が右肩下がりで回復する兆しがない、当初上昇を続けた価格がある時から下落の一途にある、こんな傾向が見られたら損切りするのも資産を守るためには必要な措置だろう。積立開始以来、ずっと右肩上がりを続けているような場合も、損失こそ出なくても、高値で購入することになり口数があまり増えない上に、やがて価格が下落するリスクもある。いくら右肩上がりでも投資金額が小さければリターンも小さいので、いっそのこと一括購入したほうが有利である、こうした判断を冷静に下せる素養ができていたら、あとは本人の決断次第だ。