専業主婦が離婚をする場合、金銭面でのリスクがあると言われています。子どもがいればなおさら離婚を思いとどまってしまうのではないでしょうか。この記事では、専業主婦が離婚を前向きに考えられるように、お金や支援制度、仕事についてご紹介します。
専業主婦が離婚する場合の金銭面のリスク
専業主婦が離婚を考えたとき、まず気になるのがお金のことではないでしょうか。離婚後の収入源となる仕事はどうしよう、離婚しても貯蓄が少ないので先行きが不安と思う人もいることでしょう。そこで、専業主婦が離婚する場合の金銭面のリスクについて解説します。
ブランクがあり安定した仕事が見つかりにくい
専業主婦の多くは、結婚や出産を機に仕事を辞めていると思われます。子どもが2人以上いる場合、10年を超えるブランクがあるという人もいるかもしれません。
ブランクが長ければ長いほど、また子どもがいると安定した仕事は見つかりにくい傾向にあります。仕事探しに不安がある人は、離婚のための準備期間を設け、就職に役立つ資格を取得しておくと良いでしょう。
住まいから育児まで環境の激変に対応する精神力が必要
離婚後は住む場所や日常生活が急激に変化します。新たな環境、初めての仕事と母親にとっても慣れないことが多く大変ですが、子どもにも精神的な負担が大きくかかっている状態です。今まで以上に子どもとコミュニケーションを取りながら、新しい環境に適応する精神力が問われるでしょう。
離婚する前に準備しておきたいお金のこと
専業主婦が離婚をするにあたってお金は重要です。離婚前に準備しておきたいお金について解説します。
夫婦の財産を把握しておく
離婚前にお金だけではなく、家や車など夫婦の財産がどれだけあるか確認しておきましょう。その際、夫婦共有の財産のみならず、自分だけの財産(結婚前からの所有物や相続した財産)も把握しておく必要があります。夫婦が共有する財産に関する書類や夫の源泉徴収票などもコピーを取っておくといいでしょう。
専業主婦であっても、夫が安心して仕事に励める環境を提供したと考えられ、結婚期間中に築いた共有財産については、原則として半分の分与を請求することができます。
離婚にかかる費用を調べる
離婚にかかる費用も忘れずにチェックしておきましょう。一般的に離婚にかかる費用としては、離婚後の当面の生活費、引っ越し費用などが挙げられます。
また、離婚調停が行われる場合は弁護士費用、調停がうまくいかなかった場合は裁判費用などがかかるかもしれません。離婚をするのにもある程度の費用はかかるので、家計をやりくりして蓄えておく、パートに出るといったように、前もって貯蓄しておくと安心です。
シングルマザーが利用可能な支援制度を活用
子どもが小さいうちは育児を優先したいものですが、そうなると思った以上に稼げないのが現実です。日本では母子家庭をサポートする制度がいくつかあります。支援制度や手当を利用すれば、経済的負担を軽減できるでしょう。
児童扶養手当
「児童扶養手当」とは、離婚によるひとり親世帯などを支援する手当です。養育者の収入や扶養する子どもの人数によって受け取れる金額が変わります。ただし、養育者に十分な所得がある場合は支給対象外なので注意してください。
厚生労働省の「ひとり親家庭への支援について(平成30年4月)Ⅳ経済的支援」によると、扶養親族等の数が1人の場合、養育者の収入ベースの制限限度額は以下の通りです。
養育者の収入 | 児童扶養手当支給額(2人世帯) |
---|---|
160万円未満 | 全部支給 |
160万円以上365万円未満 | 一部支給 |
365万円以上 | 支給対象外 |
また扶養児童の人数に応じての支給額は以下の通りです。
扶養児童数 | 児童扶養手当支給額 (全部支給) | 児童扶養手当支給額 (一部支給) |
---|---|---|
児童1人の場合 | 4万3,160円 | 4万3,150円~1万180円 |
児童2人以上の加算額(2人目) | 1万190円 | 1万180円~5,100円 |
児童3人目以降1人につき | 6,110円 | 6,100円~3,060円 |
就学援助制度
「就学援助制度」とは、経済的な理由で子どもの就学が難しいと認められる養育者に対する支援制度です。たとえば、学用品や通学費、学校給食費、医療費など学校生活を送るうえで、必要な費用の補助をしてくれます。経済的に厳しい状況でも子どもが学校に通えるよう、国と地方自治体が援助してくれるので安心してください。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」とは、経済的に厳しいひとり親の経済的自立などを目的としている制度です。この制度は、生活が不安定なひとり親家庭の生活資金、事業開始資金、修学資金、技能習得資金などを無利子または年利1.0%の条件で貸付をしています。
母子父子寡婦福祉資金の貸付は、各都道府県や指定都市、中核市が主体となって実施しているので、住んでいる地域の制度に関する情報を自治体のホームページなどでチェックしてみてください。