「これ以上は無理です」とお断り
「さすがに頻度も多すぎましたし、私には夫がいますので、『最近少々忙しいので、これ以上は料理のレクチャーはできません』と後藤さんに直接お伝えしました」

 後藤さんは、自分の要求が瑠美さんの負担になっていたことに気が付き、悲しそうな表情をして、「ごめんなさい」と謝罪し、自室へ帰っていきました。

◆困ってる人を放っておけないタイプ

困ってる人を放っておけないタイプ
 瑠美さんは、根っからの世話好きで、困っている人や悲しんでいる人がいたら放っておけないタイプです。後藤さんのお願いを断った翌日から、彼のことがずっと気掛かりになってしまっていました。

「でも、こんなこと夫に相談なんてできません。それに『お前が優柔不断で色々なところに首を突っ込むのがいけないんだ。はっきり断ったんだし、以降はノータッチ!』と夫に言われることは容易に想像がつきます。でもね…」

◆料理レクチャーの再開を申し出る

料理レクチャーの再開を申し出る
 瑠美さんはとても優しい性格をしているため、後藤さんの悲しそうな表情が脳裏から離れませんでした。それから一週間悩み抜いた挙げ句に、瑠美さんの方から後藤さん宅に出向き、レクチャーは止めない旨を伝えました。

「そのときに、玄関先に現れた後藤さんは、少しやつれて、たった一週間の間に随分老け込んでしまったように見えました」

 しかし、瑠美さんがレクチャーの再開の旨を伝えると、ふたたび満面の笑みを浮かべ、「ありがとう、ありがとう」と何度も感謝の言葉を述べたそうです。

◆このままでいいのか、自問自答を続けた5年間

 それから月日が経つのは早いものであっという間に5年間が過ぎました。この5年間、付かず離れずの関係が続き、たびたび料理のレクチャーをしに、後藤さん宅にあがっているそうです。

このままでいいのか、自問自答を続けた5年間
「本当にこのままでいいのかなあ。どうなんでしょう。これってどういう関係だと思いますか?」と筆者に尋ねる瑠美さん。とても優しそうな人柄が伝わってきました。

  肉体関係があるとか不倫をしているというわけではなく、料理のレクチャーをする程度の関係が続いているだけです。