8件のうち、直近3件は同じ第1発見者でした。メン地下崩れのYouTuber・ルイくん(吉村界人)で、3人の被害者はいずれもルイくんを推していた。ルイくんは「ヒルコが見える!」とかYouTubeで吹聴してチャンネル登録者数を伸ばしており、どう考えても怪しい感じです。

 この事件の捜査に参加することになった興玉は、「ヒルコではなくシャドーマンの仕業では?」と見立てます。「シャドーマン」とは、今世紀初頭から世界各地で目撃されている人の影のようなUMAで、一説には妖怪「黒髪切り」も実はシャドーマンではないかといわれているそうです。

 この「シャドーマン説」が世間に広まると、数々の目撃談や映像がネット上に投稿されました。しかし、その映像はフェイクであることが断定されています。着ている服に「モザイクスプレー」を吹きかけてビデオカメラで撮影すると、まるでシャドーマンのように映ることがわかっています。

 えーと、もういろいろしんどいんで割愛しますが、興玉たちはとりあえず直近の3件についてはオカルトではなくトリックを使った殺人だったことを突き止め、事件を解決しました。メン地下ファンたちの推しをめぐる執念と偏愛が招いた凄惨な事件でした。残りの5件の“神隠し”については、次回以降に先送りです。

■モザイクスプレーって何やねん

 このドラマがやろうとしていることは、一見、人知の及ばないオカルトめいた事件を、興玉たち全決が推理によって「ほら実現可能じゃん」と種明かししてみせるということのようです。

 そのコンセプト自体はとっても楽しいものですし、「トンデモ」に見せかけて実はきっちり頭を使って作ってるよ、という主張も感じられました。たった一点を除いて、トリックそのものもそれなりの完成度はありますし、殺意にも殺人者の気持ちが乗っていて納得感がある。

 そのたった一点、「モザイクスプレー」という架空の夢スプレーを出してしまったことで、まあホントに、ミステリーとしては見事なまでに台無しになっています。