こうなると何かと自分にいいわけをして、着手できなくなってしまうのです。そんな膠着(こうちゃく)状態からいち早く抜け出すには、「スタート」のハードルを低く設定するのが効果的。まずはできることからはじめていきましょう。

仕事が順調に進んでいたのに、いつのまにか別のことをやっていた、勉強していたのに、部屋の片づけをはじめた。情報過多の世の中で、「脱線防止」は至難の業かもしれません。スマホにロックをかける、BGMは音楽一択にするなど、意識的に情報を遠ざけるのが得策です。

◆「つまづく」のは脳のクセが原因

人によって「つまづく」ポイントは異なりますが、すべての原因は脳のクセにあるといいます。

「一人ひとりの外見が違うように、脳だって得意不得意があって当然」と本書。苦手な分野を知って、そこをうまく解きほぐしていけばいいのです。

時間管理が苦手な人の脳の特徴は、①抑制制御(がまん)が苦手、②時間感覚が不正確、③報酬遅延勾配が急(ごほうびを待てる時間が短い)、この3つ。

たいていの人が、がまんは苦手ではないでしょうか。物事をやり遂げること、目標を達成することは、努力やがまんが必要となってきます。

努力とがまんの先に喜びが待っていると理解していても、がまんから逃げてしまうのです。それが「脳のクセ」だから。

本書いわく「『がまんする力』は鍛えて強くなるものではない」。つまり、誘惑や外的な刺激を減らしたほうが即効性が高いのです。

◆いつも遅刻してしまう、そんな人は

早く起きたのにいつも遅刻してしまう。そんな人は、起床から家を出るまでのタイムスケジュールを書き出し、「スタート・プラン・モニタリング・脱線防止」に分類してみましょう。これらのどこで「つまづき」が起こっているのかがわかります。

「服探しに時間がかかっている(モニタリング)」や、「メイクしながら化粧品をネットで注文している(脱線防止)」など、誘惑や刺激にがまんできない時間が見えてきました。ここを制覇するために、「前夜に服をコーディネートしておく」「スマホでルーティンタイマーを管理」といった、スムーズに行動できる流れを作っていけばいいのです。