人の死や犯罪組織を描くノワールだけに、このドラマは人物たちの細かい情緒や逡巡は極力排除してシンプルにプロットだけで進行していきます。兄妹に潜入を命じる警察上層部は強引かつ不可避は方法でキイチを納得させますし、闇バイトの面接会場で妹を見つけ、帰らせようとする兄の苦悩も展開で押し潰していく。結果、とてもスピーディーでスリリングなドラマになっていました。第1話で潜入に成功した途端、2人が「警察の犬」だとバレるラストも引きは十分。申し訳程度の次回予告も意味不明でステキです。

 正直、脚本だけ見たら作り込みの甘いところもたくさんありそうな感じはします。でもそこはやっぱり香港ノワールですからね、ケレン味あふれるガンアクションとか、脂ギトギトの美味そうな中華料理とか、そういう「美学」でもって押し切ってほしいと思います。今んとこ、けっこう好きよ。けっこう好き!

(文=どらまっ子AKIちゃん)