迫力といえば、栗山さん演じる八犬士の最大の敵、玉梓だ。伏姫の父・義実に打ち首にされたことで里見家を怨み、末代まで里見家を祟るその執念は妖艶ながらも恐ろしいビジュアルとなって表現されている。

「玉梓は勧善懲悪を扱った「八犬伝」の中で「完全悪」として描かれる存在。どう悪を貫くか、どう恐ろしく見せるかが課題だと思っていました。特殊メイクや衣装に助けてもらった部分もありますが、意識したのは“何を考えているのかがわからない”という怖さ。はかなげに情に訴えたと思ったら、次の瞬間鬼の形相になっていたり。本心が読めない不気味さみたいなものが表現できたらいいなと思いながら演じたので、細かな表情にも注目してもらえたら嬉しいです」

八犬伝に登場する8つの玉「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」の中で栗山さんが1番大切にしているものを尋ねると、思いやりの「仁」と礼儀の「礼」というお答えが。

「今までこのお仕事を続けてこられたのも、今こうして自分がいるのも、支えてくださるスタッフの方や、応援してくださるファンの方のおかげ。その感謝を忘れずにこれからも大事にしていきたいのでその2つを選びました。もうちょっと欲しいのは「智」ですけどね(笑)

失明しながらも28年という長い歳月をかけて滝沢馬琴が書き上げた「南総 里見八犬伝」。それにちなみ、栗山さんが「これをやり遂げるまで死ねない!」ということを伺うと。

「本当にありがたいことに、やりたいと思ったことはできてるんです。役者としては、年代ごとの役を通して成長していきたいです。これから40代、50代になるのに合わせて、お母さん役や、おばあちゃん役といったように、そのとき、そのときの自分に合った役を演じられたらいいなと思っています。学生役?たまに回想シーンを演じることはありますが、制服はもう厳しいかなー(笑)」