「野球はもともと、挟殺、牽制、ピックオフ、カバーリングなど、細かいプレーの練習が多いスポーツ。それがイヤで辞めていく子も多いですが、今春から高校野球で“飛ばないバット”が採用され、打撃練習まで地味になりました。とびきり上手で体格も良くないとホームランを打てないので、“つまらない”とボヤく子は多い。専門家は『芯に当たれば飛ぶ』と繰り返しますが、その前に野球を辞めてしまったら身も蓋もありません。また、なかなか点が入らないので、投手の重要性は増していますが、投手は努力より才能の世界。運動神経が良い子しかスターになれないなら、子供たちは野球を選びませんよ」(少年野球指導者)

 また、日本プロ野球は“見るスポーツ”としても魅力が減じられているという指摘もある。

「投手優位だと試合が短くなるので、運営側は歓迎のようですが、投手戦を喜ぶ観客は野球に詳しい玄人だけ。野球で一番盛り上がるのはホームランなのに、それが1試合に1本出るか出ないかでは、ライト層は退屈ですよ。かといってスピーディーな盗塁が多いわけでもない。そもそも投手戦というのは、エースとエースの投げ合いで生まれるもの。誰が投げても2~3点しか入らないのは投手戦ではなく“貧打戦”です。ファンを獲得するのは大変ですが、離れるのはあっという間。少しは魅せるための努力をしないと、コアなファン以外は大谷しか見なくなるでしょう」(週刊誌スポーツ担当記者)

 今のテレビを見れば、その状態は目の前まで来ている。飛ぶボールで“ドーピング”すべきとは言わないが、巨人が優勝しても全く騒がれない今の状況は“終わりの始まり”かもしれない。