物語の舞台はハリーたちが魔法界を救ってから19年後。3人の子の父となったハリーだが、ホグワーツ魔法学校に入学する次男のアルバスは英雄の家に生まれた自分の運命に抗うように反抗的な態度をとる。幼い頃に両親を亡くしたハリーは父親としてうまく振る舞えず、関係を修復できないまま、魔法界に新たな黒い影が忍びより...というストーリー。
「映画の中のハリーは、ヴォルデモートという強力な闇の存在を倒したヒーロー的存在という印象が強いと思いますが、今作でのハリーは、家族のことで悩んだり、夫婦で子育てに対する意見が違ったり、より人間味のある人物として描かれています。彼が19年間どんな経験をしてきたのか、人間関係を含めて細かい描写がしっかりと描かれているところがこの作品の大きな魅力であり、老若男女問わず多くの人に愛されている理由だと思います」
稽古を進める上で、新しい気付きもあったと吉沢さんは続ける。
「ハリーはヒーローだからこそ、一挙一動に注目されてしまうし、話題になってしまう。言わばずっと世間にさらされている存在なんです。演出補のエリックさんから“彼はハリー・ポッターという仮面をかぶっているのかも?”というお話を聞いたとき、なんて面白い解釈なんだろうと思ったと同時に、きっと孤独なのではないかとも思ったんです。ヒーローでい続けなければいけないプレッシャーや、肩の荷を下ろして素顔を見せられる相手がいない...。そんな悩みや葛藤を抱えているハリーを、稽古を通して作り上げていきました」
吉沢さんも“見られる側”の職業。自分に重なる部分もあったのでは?
「まったく素が出せないということはないのですが、どこか似ている要素はあるのかもしれませんね。噂に敏感で何か行動を起こすとすぐ新聞に載ってしまう魔法界と、噂が出ると良い意味でも悪い意味でもSNSなどで一気に拡散されていく今の時代...、似ているかもしれません(笑)。僕が素を見せる瞬間?そうですね...、犬を触っているときかな(笑)」