9月に入ってからは、織田裕二と石黒賢が主演した『振り返れば奴がいる』、織田の主演でドル箱となった『踊る大捜査線』シリーズ、そして10月からは『ビーチボーイズ』と、90年代の大ヒットドラマを相次いで再放送。いずれも視聴者を歓喜させ、平日午後の再放送枠とは思えないほどの反響が生まれている。

 だが、フジテレビがこれを素直に喜べるかどうかは微妙なところだ。それというのも、近年のフジテレビはドラマ不振が続いており、『ビーチボーイズ』が放送されていた伝統の「月9」枠も低視聴率を連発。全体的に国内ドラマの人気が落ち込んでいるとはいえ、フジテレビの苦境はとりわけ鮮明だ。

 そうした状況を踏まえて、ネット上では「フジテレビは昔のドラマなら面白いから、もう新作やめて再放送だけしていたらいいのに」「つまんない新作ドラマより、昔のドラマをデジタルリマスター版とかでゴールデンに流した方が人気ありそう」などと皮肉る声も上がっている。

 実際、フジテレビは「過去の遺産」にすがっているフシがあり、4月には反町が主演した往年の人気ドラマ『GTO』の26年ぶりの新作スペシャルドラマ『GTOリバイバル』を放送。さらに『踊る大捜査線』シリーズの12年ぶりの新作となる二部作のスピンオフ映画『室井慎次 敗れざる者』(10月11日公開)と『室井慎次 生き続ける者』(11月15日公開)の公開も控えている。また、噂レベルながら『古畑任三郎』のリメイクプロジェクトが持ち上がり、すでに脚本家の三谷幸喜氏の承諾を得たとの報道もあった。

 再放送ドラマの異例の好評ぶりは、フジテレビのドラマ不振を改めて浮き彫りにしてしまったともいえそうだ。