角田や出口が2028年のロス五輪を目指すか否かは不明だが、いまメディアでの活動を優先していたとしても、4年後には余裕で間に合う事情もあるという。

「柔道における五輪出場選手の選考は、大会の2年前くらいから大会直前までの予選期間における世界ランキングで決まります。つまり五輪出場を目標とするなら、前回大会が終わってからしばらくは休むことも可能です。たとえば東京五輪で金メダルを獲得したウルフ・アロンは、大会後メディア出演を増やした一方で、柔道に対するモチベーションが下がり、試合で結果が出ない時期がありました。しかし、パリ五輪出場を目標として予選期間で調子を戻し、100kg級の代表に選ばれたという経緯もあります。角田や出口が今後どのような道に進んでいくかはわかりませんが、これから1年ほどメディア活動に力を入れて、選手としての活動のペースを落としていたとしても、代表選考の予選期間に調子を上げれば問題ない。そういったことも、柔道選手がテレビ番組に出やすい理由となっています」(同)

 柔道界全体に対しても、メダリストがメディアで活躍するメリットは大きい。

「日本の柔道は世界トップクラスであることは言うまでもないのですが、日本国内で柔道が国民的スポーツになっているかと言われると、それほどでもない。パリ五輪の柔道団体で優勝したフランスの方が、国民からの人気は高いと言われてしまうほどです。日本柔道界にとっては、打倒フランスという目標もありますし、いまよりももっと日本国内での柔道人気を高めて、全体のレベルを上げていきたいという狙いがある。そういったなかでメダリストが地上波テレビで活躍すれば、競技の認知度が高まるというポジティブな効果が見込めるわけです。角田や出口、そしてウルフといった選手はトークも上手く、キャラクターも親しみやすく、柔道の“広報”担当としては適任でしょう」(同)

 角田や出口はインスタグラムへの投稿が話題になることも多く、アスリートとしてだけでなく、等身大の女性としても支持され始めている。今後も、才能豊かな柔道家たちが、メディアで大活躍し続けることとなりそうだ。