「ですが怖過ぎてあまりGに近づけないまま殺虫剤を噴射してしまい、Gが壁の上の方に逃げてしまったと思ったら、殺虫剤に反応したのか本棚の横からもう1匹Gが出てきて…それを見た時に心身共に疲れ果てて限界だった私は気がついたら静かに泣いていたんですよ」
◆彼が目を丸くして…
すると目を覚ました翔太さんが、壁をはうGと、突っ立ったまま泣いている結菜さんを見て目を丸くし「ごめんごめん!そうだよね、怖くてここじゃリラックスなんてできないよね」とあわてて車で結菜さんを少し離れたところにあるビジネスホテルまで連れて行ってくれました。
「翔太は『これからバルサンを炊く準備をして、朝になって実行したらすぐ迎えにくるね。そしたら近くのアウトレットモールに結菜を送るからショッピングでもしていて。僕は後始末をしてまた戻ってくるから』と明日の予定を伝えてひとりで実家に戻って行ったのですが、お陰で私はやっとホテルでシャワー浴びてスッキリし、安心して眠ることができたんですよ」
結菜さんは、自分の異変に気がつきホテルを取ってくれた翔太さんの気持ちが嬉しかったそう。
「ただでさえお母さんのことで気落ちしているのに、さらに私をアウトレットに連れて行ってあげようと思ってくれる優しさが身に染みましたね」
◆すっかり綺麗になった実家
それ以来2人は定期的に翔太さんの実家に行くようになり、家中すっかり綺麗になってGも出なくなりました。
「あの日のバルサンでほとんどGを退治できたようで、その次から私も怖がらずに掃除の戦力になることができたんですよ」
お母さんは結局手術を受けることになりましたが、術後は順調ですっかり元気になったそう。
「あの晩のたくさんのGとの遭遇は本当に辛かったし思い出したくもないですが、そのお陰で翔太への信頼度も上がりお母さんにも感謝され仲良くなれたので…。決して無駄な体験じゃなかったなと思っています」と微笑む結菜さんなのでした。