<7月20日のテレビ朝日「池上彰のニュースそうだったのか!!」で、「日本」の読みが「ニッポン」から「ニホン」になったのは〈せっかちな江戸っ子が早口で話し〉たためと解説。これはきわめて明白な俗説中の俗説で、「※諸説あり」と断ったとしても、テレビで放送すべきではありません。>とX(旧Twitter)に投稿したのは国語辞典編纂者の飯間浩明さん。

(画像:テレビ朝日「池上彰のニュースそうだったのか!!」公式サイトより)
(画像:テレビ朝日「池上彰のニュースそうだったのか!!」公式サイトより)
◆テレビではよく目にする「諸説あり」に警鐘

テレビではよく目にする「諸説あり」という言葉。

なんとなく便利な言葉として使われていますが、飯間さんは<『諸説あり』という表現は、専門家が真実を追究して、それでもなおいくつかの説に分かれる、という場合にこそ使うべきです。専門家なら「それは事実に反する」と、あっさり否定できるような説を「諸説」の中に加えるべきではありません。「諸説あり」がフェイクを拡散させる免罪符になってはいけません>(X投稿より)と警鐘を鳴らします。

投稿には2万以上のいいね!をはじめ、大きな反響がありました。たしかにテレビで放送していると信じてしまう人が多くなりますよね。飯間さんに詳しいお話を聞いてみました。

◆明らかに事実でない説明を放送

「たまたまテレビをつけていたところ、明らかに事実でない説明を放送していたので、見過ごすことはできないと考えて投稿しました。番組の姿勢を問う、などと大げさに言うつもりはありません。ただ、専門家に確認を取ればすぐに俗説だと分かる説を放送すべきではない、とは思いますね」(飯間浩明さん)

TV アナウンサー 取材 撮影 テレビ局
写真はイメージです(以下同じ)
飯間さんによると、番組内で説明されていた「“日本”の読みが“ニッポン”から“ニホン”になったのは、せっかちな江戸っ子が早口で話したから」という説はありえないのだそう。

室町時代末期にはすでに“ニッポン”および“ニフォン”(“ニホン”の先祖に当たる発音)があり、江戸時代に入って、京都でも江戸でも“ニホン”の発音になったとのこと。「せっかちな江戸っ子」はどう考えても無関係で、「諸説あり」の範疇(はんちゅう)から外れるといいます。