映画ライターもこう話す。

「劇中でなかなか長澤が出て来ないので“出る出る詐欺”ではないかと思いました(苦笑)。いざ出て来たら、長澤の魅力がいかに観客に伝わるかを意識した場面ばかりで、夫と元夫役はまるで“添え物”のような感じ。最後になってようやくタイトルの意味や伏線が回収されるのですが、それまでの展開が退屈で、終盤のミュージカルも謎でした」

 近年は人気ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジ系)シリーズが話題を集めた長澤だが、映画女優としても2020年公開の映画『MOTHER マザー』では自堕落な母親役を演じて新境地を開拓して日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞に輝き、19年公開の『キングダム』でも最優秀助演女優賞を受賞するなど存在感を放っている。

 となると、今作での映画賞獲得も期待が持てそうだが、実際のところはかなり厳しそうだという。

「現状、今年公開の作品を対象とした各映画賞の主演女優賞の有力候補となっているのは、大ヒット公開中の『ラストマイル』の満島ひかり、『あんのこと』、『ナミビアの砂漠』の河合優実です。それに、主演にもかかわらず出番が極端に少なかった『スオミの話をしよう』の長澤に関しては映画賞の候補にすらあがらないでしょうし、そもそも各映画賞はこれまで三谷作品をあまり評価してこなかったですからね」(同映画ライター)

 三谷氏といえば、映画の公開前の宣伝の際にはやたらと自身の“長澤まさみ愛”を強調していたが、今作に関してはあふれんばかりの愛情が裏目に出てしまった部分もあったのかもしれない。