投手として28試合に先発し、15勝9敗、防御率は2.33。166イニングを投げて規定投球回数に到達している。打者として157試合、666打席に立って規定打席数に達している。打率.273、本塁打34本、95打点。投打とも、トップクラスの成績である。投球回と打席の両方で規定に達した例は近代メジャーリーグでは一度もなく、まさしく「史上初の二刀流選手」として完成を見たシーズンだった。

 23年、またしても大谷は満票でMVPを獲得する。投手として23試合に先発し10勝5敗、167奪三振、防御率3.14。打者として599打席に立ち、打率.304、95打点、そして44本のホームランを放って、ホームラン王を獲得。「投手として2ケタ勝利、打者としてホームラン王」という、フィクションの世界でも考えられないような記録を打ち立てているのだ。

 こうして二刀流としてフル回転した21~23シーズンの3年間と比較してみれば、今年の打者専念で「54-58(29日現在)」という数字も決して驚くべきものではないように見えてくる。

 今シーズンのプレーオフでの投手登板はないとされている大谷だが、すでに来シーズンに向けてピッチング練習を始めている様子が報じられている。「54-58」が、来年はマウンドで投げるのだ。

 もう大谷なら「サイヤング賞とホームラン王の同時受賞」も夢物語ではない。現在30歳の大谷、今後も数々の記録を塗りかえながら、ファンの間で「ベストシーズン論争」が続くことを祈りたい。