米メジャーリーグ、ロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平の2024年シーズンが終わろうとしている。日本時間29日のロッキーズ戦では58個目の盗塁を記録し、「本塁打-盗塁」の数字は「54-58」に到達。日本人最多盗塁記録だったイチローの56盗塁も抜き去り、文字通り前人未到の記録である。

 明日の最終戦を残してホームラン王、打点王は確実。打率も含め、3冠王の可能性もわずかに残している大谷。昨年秋にトミー・ジョン手術を受け、打者に専念した今シーズン、誰もが驚くような打撃成績を挙げ、チームを地区優勝に導いた大谷の活躍は、メジャーリーグ史上初の「DHとしてのシーズンMVP」も視野に入るほどだ。

 打者としての全盛期を迎えているといわれる大谷だが、投打の「二刀流選手」として見れば、今シーズンがベストだと言い切れない部分もある。守備面での貢献度がゼロであるDHでの成績に対する球界の評価は厳しいものがあり、これまでDHの選手がMVPを獲得したことがないのも、そうした評価基準によるものだ。よって、ファンの間でも大谷の「ベストシーズン」はいつだったのかという論争が過熱することになる。

 大谷は過去2回のMVPを獲得しているが、1回目は21年シーズンだった。

 投打の二刀流としてフル回転した同年、大谷は打者としてリーグ3位の46本塁打を記録し、100打点、26盗塁という成績を残している。投手としては23試合に先発して9勝2敗、防御率3.18、156奪三振をマークしている。この年、1位票満票でMVPに選出された大谷だったが、この評価は具体的な数字というより「二刀流の選手がフルシーズン試合に出続けた」という、誰も見たことがないインパクトによるものだったに違いない。

 翌22年にはMVPこそアメリカンリーグ新記録の62本塁打を記録したアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)に譲ったものの、前年以上に鮮烈なシーズンだった。