離婚をしたいと思ったときに、正直なところ頭に浮かぶのはお金の心配ではないでしょうか。離婚をするうえで、お金の話は避けては通れません。そこで今回は、離婚時に関係する費用について解説します。離婚をするための手続きや離婚後の生活費など、どんなお金が必要で何を決めなければならないのかをチェックしましょう。

最近の日本における離婚件数

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厚生労働省の「人口動態総覧の年次推移」によると、2019年の婚姻数は59万9,000人に対して離婚数は20万人であり、離婚率は約35%となっています。

2017年の「司法統計年報 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」によると、離婚裁判にまで至った動機として、「性格が合わない」との申立てが夫から1万1,030件、妻からが1万8,846件で1位です。

続いて、精神的虐待や異性関係などがおもな理由となっていますが、「性格の不一致」が飛び抜けていると言ってよいでしょう。

相手の人柄を見極めて結婚を決意したものの、生まれも育ちも違う2人が一緒に暮らす中で思っていた性格とは違うと思う場面や、価値観に違いがでてくるのは自然なことでしょう。

また、厚生労働省が発表した「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2019年に離婚した夫婦は20万8,489組で、うち20年以上連れ添った夫婦は40,395 組でした。離婚した夫婦の約20%が熟年離婚という結果になっています。

離婚をするにあたって準備が必要な費用

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離婚手続きに必要な費用

離婚手続きにはおもに3つの方法があり、どのような手順を踏むかで必要な費用が変わります。

「協議離婚」は、お互いに離婚の意思と条件がまとまり、離婚届けに記入して提出することで離婚が成立します。役所に書類を提出するだけなので費用は必要ありません。

「調停離婚」は、家庭裁判所に調停の申立てを行い、男女1名ずつの調停委員に第三者として夫婦の間に入ってもらう方法です。必要費用は、調停の申立てに必要な書類に貼る収入印紙代と訴状提出用の切手代です。弁護士に依頼する場合は、別途弁護士費用が必要となります。

「裁判離婚」は、離婚原因を主張・立証することで判決が確定し離婚が成立する方法です。子どもがいる場合は親権者の決定、養育費、慰謝料、財産分与なども判断され、費用は切手代と裁判所へ納める手数料が必要となります。手数料は請求する利益の額によって決定しますが、離婚のみ請求の場合は、1万3,000円です。

弁護士に依頼した場合の費用

弁護士に依頼する場合は、法律事務所によって金額が異なります。相談料は30分5,000円(税別)程度からで、着手金、成功報酬などを含めて、協議離婚の場合は10万~30万円、調停離婚の場合は30万~70万円、裁判離婚の場合は70万~110万円が相場です。

弁護士費用を準備するのが難しい場合は、法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスを提供している法テラスに相談するとよいでしょう。

転居や家財などの費用

離婚にともない転居をする場合、引っ越し費用が必要です。敷金や礼金、仲介手数料、現在の家を引き払う場合は原状回復費や前家賃などを用意する必要があります。また、新生活で使う家財の購入費も必要です。