この内装モジュールは、2層、もしくは3層の膜構造になっており、その間に空気の層を挟むことで空気断熱の効果を発揮する。今回のプロジェクトでは、専門家とともに、このモジュールの断熱性能を検証していくという。
外壁材の工事が不要な「ラッピングリノベーション」
また、建物の外装デザインを改善することは、地域の景観を向上させるために必要とされる。
今回のプロジェクトでは、建物全体を包み込むリノベーション「ラッピングリノベーション」を膜素材で行う計画だ。
この手法により、外壁材自体の工事が不要となり、加えて膜からほのかに漏れるLEDの灯りが、夜には暗い通りを照らす効果も期待できる。
築50年の空き家をデザイナーズゲストハウスに
実証実験の第一号となるのは、かつて地域で愛される居酒屋であった築50年の空き家。この空き家を一棟貸しのデザイナーズゲストハウスへと改装し、街に不足している宿泊拠点を提供する。
今回のプロジェクトのデザインと設計は、リ・パブリック社のミラノ工科大学出身のイタリア人デザイナー、ヴァレンティナ・マリア・ヴァシレ氏が担当。
彼女の感性と、日本の空き家や新素材の持つポテンシャルを活かした新たな空間を創り出す。
さらに、ゲストハウスの運用を通して、空き家活用の新たな収益モデルを開発する。今後は、同様の施設を近隣、鹿児島県内も含めて複数運営し、そのノウハウは全国で地域づくりにチャレンジする人々に共有していくという。
今後の流れについて
スケジュールは、9月後半から12月初旬にかけて空き家のリフォーム工事を開始。工事期間中には複数回のリノベーションワークショップを予定しており、一般参加も可能だ。
そして、2025年1月後半からは、宿の宿泊がスタートする予定となっている。
日置市長・永山由高氏のコメント
日置市長の永山由高氏は、「小平さん達の挑戦は、湯之元温泉の日常が持つ豊かさを現代の社会にフィットする形に変えていくものです。地域の記憶や思い出を大切にしていただけるからこそ、街の人たちをどんどん巻き込み、応援の輪がどんどん広がっています。今回のプロジェクトを通して、またこの温泉街を第2の、第3の故郷のように思っていただけるような新たな仲間との出会いに期待しています。私も全力で応援します!!」と話している。