若年層が多いのは、スマホによる犯行がメインを占める性犯罪だからです。当クリニックが2006年に性犯罪の再発防止プログラムを始めたころ、窃視障害と診断される患者の多くはデジカメ、もしくは小型カメラを使っており、のぞきの割合も現在よりは多かったのですが、スマホの普及に伴い、さらに低年齢化していくという変遷をたどります。
当クリニックの調査による「盗撮開始年齢」(平均盗撮開始年齢は21.8歳)や「問題行動から初診までの期間」(平均7.2年)とあわせて考えると、クリニックにたどり着くまでに若いころから膨大な回数の盗撮行為を繰り返していたと推測できます。
◆四大卒・会社員・既婚者の「普通の男性」
次に「学歴」です。窃視障害の診断を受けた患者の学歴は「大卒(中退含む)」が49%(257人)で約半数を占めています。「大学院卒(中退含む)」8%(41人)と「大学在学中」8%(41人)を合わせると全体の65%を占め、痴漢加害者よりもやや高学歴の傾向にあります。
「初診時の職業」については、「会社員」が50%(261人)を占めています。また、「医療・福祉・教育関係」の専門職が15%(78人)と目立つのも特徴です。「無職」も10%(53人)いますが、そのほとんどは事件を起こしたことで失職した人たちなので、もともとの職業を聞くと、サラリーマンが多いです。
「初診時の結婚歴」ですが、「配偶者あり(離婚歴なし)」が46%(241人)と約半数。「配偶者あり(離婚歴あり)」7%(36人)と、「配偶者なし(離婚歴あり)」6%(31人)を合わせると、結婚歴のある人が全体の59%を占めています。ちなみに痴漢と比較すると、「女性との交際歴なし」(女性と性交渉したことがない)と答える人がやや多い印象があるのですが、これは盗撮加害者の年齢層が痴漢よりも若いからであり、有意な差はなさそうです。