◆盗撮多発スポットは、駅構内、電車、商業施設

「犯行場所別の検挙件数」(警察庁)と「盗撮加害者521人の主な盗撮場所」(榎本クリニック)
「犯行場所別の検挙件数」(警察庁)と「盗撮加害者521人の主な盗撮場所」(榎本クリニック)
 犯行手口に続いて、盗撮の行われる場所についても見ていきましょう。警察庁の「犯行場所別の検挙件数」によれば、盗撮被害が多いのは「駅構内」「電車」です。2019年には、この2つを合計すると1219件となり、全体の約3割を占めます。2つの合計に次いで多いのは、「ショッピングモールなどの商業施設」で977件です。

 当クリニックの統計でも、主な盗撮場所は「階段」(26%)、「エスカレーター」(22%)、「トイレ」(13%)となっていますが、詳しく話を聞いてみると、実はこれらのほとんどが駅構内です。ここに「電車内」(8%)を合わせれば、盗撮行為の多くが鉄道・駅構内で行われていることになります。

 盗撮加害者の大半はサラリーマンなどの勤め人です。特に都市部では、彼らの交通手段である駅がおのずと犯行現場になっているのだと考えられます。

◆盗撮加害者は若年層に多い

 榎本クリニックで、2006年5月から2020年3月の間に実施した、窃視障害(盗撮・のぞきを繰り返す性依存症)と診断された521人の患者に対するヒアリング調査は、日本初の盗撮・のぞきに関する大規模な統計データとなります。この調査によって、盗撮加害者の平均的なパーソナリティが見えてきました。

「盗撮加害者521人の初診時の年齢」(榎本クリニック)
「盗撮加害者521人の初診時の年齢」(榎本クリニック)
 まず、「初診時の年齢」ですが、「10代」が5%(26人)、「20代」が33%(172人)、「30代」が40%(208人)を占め、10代から30代を合わせると 78%で約8割を占めており、平均年齢でいうと28.3歳です。検挙件数や、治療に訪れる相談者の割合からみて、盗撮とともに日本の二大性犯罪といえる犯罪に「痴漢」がありますが、盗撮加害者の平均年齢は、痴漢加害者の平均年齢よりも、若年層が多い傾向にあります。