また、DV加害者やストーカー等から被害者を守る観点から、被害者の携帯電話や所持金を没収し、外出を禁止するなど厳しいルールが敷かれている施設も多いのが現状だ。

こうした現状からシェルターを忌避し、DVの環境下に戻ったり、生活費を手に入れるために危険な環境に身を置いたりする人も後を絶たないと同団体は語る。


このような背景を踏まえ「ながれる」は、施設の個室に閉じこもらず、他者や街の気配を感じながら心地よく過ごせることをコンセプトの中心に据えている。


「ながれる」は、さまざまな理由で今日帰る場所がなく避難が必要な人を、一時宿泊で受け入れる機能を有している。加えて、専門スタッフに相談したりゆっくりとくつろいだりできる事務エリア、街に開かれさまざまな人と交流できる“半開き”のエリアを備え、地域とのつながりと安心を生み出す。

既存のシェルターも当然必要だが、サポートを必要とする人のバックグラウンドが多様であるからこそ、“半開き”のシェルターが多様な選択肢のひとつとなることを同団体は目指している。

寄付を募集中

「ながれる」の施設機能は、最大2名が宿泊できるシェルター、相談・事務スペース、“半開き”のコミュニティスペース。開設までのスケジュールは、9月に内装工事開始、12月にオープン予定だ。

「ながれる」の名前の由来は、傷を負った人が心と体を癒せる場所ではありつつも、留まることなく、次の場所、次の人生のステージに漕ぎだしていける場所でありたいという願いが込められている。

現在「ながれる」の設立に向けて、施設の改装や運営の設計が進められているが、公的な補助金によるサポートの見通しは立っていない。着工〜運営1年目までに約3,000万円の費用が不足しているため、同団体は寄付を募集している。下記の「ながれる」公式サイトより寄付ページを確認できるので、気になる人はチェックしてみて。

「ゆずりは」所長の高橋亜美氏は、「(前略)『ながれる』は、朝起きたときに、『ああこんな心地よい場所で眠れたんだ』と思えたり、緊張や不安がほどけたり、『生きていてもいいかもな』って気持ちが芽生える場所となったら嬉しいです。(中略)街に開かれ、支援する人、相談する人、地域の人、みんなの間で安心が生まれる。泊まっている人たちも、そのあたたかな雰囲気を感じながら過ごせる。そんな連なりを大切に、安心がめぐる場所となることを願っています」とコメントを寄せた。