もちろん、気弱そうな相手を選んでのぶつかり行為は決して許されませんが、このおじさんも全然幸せそうに見えません。ぶつかることでしか社会と触れ合えないとは、あまりにも哀しい存在です。テレビのニュース番組では、政治家たちが次期党首の座をめぐって景気のよさそうなことばかりを口にしていますが、彼らの目の届かない下流社会や裏社会こそが、『ベビわる』の描く世界だと言えるでしょう。

 ちなみにぶつかりおじさんを演じた水澤紳吾は、入江悠監督のブレイク作『SRサイタマノラッパー』(09年)で、MC TOMを演じた演技派俳優です。2017年にテレ東の深夜枠で放映された連続ドラマ『SRサイタマノラッパー マイクの細道』でもメインキャストを務めました。水澤が出演した『サイタマノラッパー』劇場版三部作と同じく、『ベビわる』も「インディーズ映画の聖地」池袋シネマ・ロサが封切館でした。現在、シネマ・ロサでは、『侍タイムスリッパー』がロングラン上映中です。

 日本インディーズ映画の歴史を感じさせるワンシーンでした。

『ベビわる ナイスデイ』とドキュメンタリー番組にも注目

 第3話のクライマックスは、まひろからバッグをひったくった不良チームへの制裁です。バッグには財布だけでなく、カルビイカも入っていました。家族同然のカルビイカを誘拐した挙句に、証拠隠滅のために燃やそうとするではありませんか。駆けつけたまひろは、ハイスピードの連打を浴びせ、不良たちを秒殺します。不良のリーダーから「お前、何者なんだよ」と問われ、「私はただのぬい好き」というまひろの目がマジで怖かったです。

 恒例となっていたちさとの「飯テロシーン」はお休み。代わりに「コンビニモツ煮込み」を食するまひろでした。冒頭で茉奈が話していた北海道限定の「やきそば弁当」と共に気になる一品です。ローソンに同タイプの「ホルモン鍋」があったので、さっそく購入してみました。味が濃いめなので、白ご飯によく合います。まさに飯テロです。