――そうなんですね。

村瀬:あと、もう一つ、目黒さんがすごいなと感じたのは、夏というキャラクターを通して、「嫌われる」ことを恐れていないということです。夏って、時にすごく嫌われかねないキャラクターなんですね。それって、目黒くん自身のタレントとしての好感度も下がりかねないのに、目黒くんはそういうことを一切気にしないんです。

さっき賛否両論の話をしたように、夏のこの行動は視聴者から怒られてしまうだろうな、というシーンがあっても、目黒さんは一切気にしない。このシーンでは嫌われちゃうようなことを言うことが大事だっていう、僕らの狙いをちゃんとわかってくれているからだと思います。生方さんや僕、そして監督を信じてくれていて、どんなラストになるのかまで見据えた上で、嫌われてくれてたと感じています。その姿勢には感謝しかないです。

◆スタッフをメロメロにした“海ちゃん”の存在

海のはじまり
――現場では海を演じた泉谷星奈さんがムードメーカーだったそうですね。印象的な交流はありますか?

村瀬:海ちゃんを見ているだけでみんな顔がほころんじゃうんです。大変な中でも、彼女を見ていると「海ちゃんが頑張ってセリフを覚えているのなら、自分たちも頑張ろう!」って思える。天使のような、癒やしの存在でした。それはキャストにとっても、スタッフにとっても。

彼女がクランクアップした時は、スタッフがわんわん泣いていましたよ。みんな彼女の頑張りが糧になっていたんでしょうね。

――目黒さんとはどんな交流をしていましたか?

村瀬:クランクアップ間際「あと6カットで夏くんと別れちゃう」と言って、終わるたびに「夏くん」と抱きついているのが印象的でしたね。もう本当に親子のようでした。それはもちろん、目黒さんだけじゃなくて、池松さんも大竹さんも有村さんも。彼女とのシーンが長かった人はみんなそんな気持ちになっていましたね。

海のはじまり
◆長い時間をかけた意味を見届けてほしい