◆店に来た女性客にピンとくるも…
久々の再会から数日後、お店に一人の女性が来店します。美玲さんは接客をするために女性に近寄ると、先日S先輩が購入したシャツのレディースを品定めしていました。
「なんかとっても清楚で、私より少し年上な感じの女性が来店したんです。でも、なんとなく嫌な予感がして…私って想像力豊かすぎるんでしょうか? S先輩と同じシャツを選んでいるのを見て、もしかして彼女!? と、余計なこと考えたんです」
しかし、美玲さんの想像は的中していました。お会計の際、その女性がスマホ決済で画面をこちらに向けた時に、通知バーに表示されたLINEアイコンがS先輩のアイコンとそっくりで、おまけに、S先輩も付けていた犬のキーホルダーが、その女性のバッグにもついていたそうです。
「一瞬その光景を見た時、とても動揺したんですが『偶然だ』と自分に言い聞かせて、その後の仕事をなんとかこなしたことを覚えています」
◆プレゼントを開けて、やっぱり予感的中
美玲さんは、最近起こった気になることを全部心の中にしまい込み、予定通り12月25日をディズニーシーで迎えることができました。いつもより少し念入りのメイクに、この日のために買ったダウンコートに身を包みS先輩と過ごす楽しいひとときが始まります。
「全く期待していなかったんですが、シンデレラ城の前でいきなりS先輩からクリスマスプレゼントを渡されたんです。驚きと嬉しさのあまり、少し泣きそうになりました。小さな包みに入ったリップのプレゼントでした」
その後もまるでカップルのように腕組みをしながら残りの時間を楽しんだ二人は、東京駅で解散し、美玲さんは地下鉄に乗って帰路につきました。
「私、待ちきれなくて帰りの地下鉄の中でプレゼントの箱を開けたんです。そこにはゴールドのパッケージがあり、リップには『M.TANAKA』という名入れが…それを見た瞬間全てがつながってしまいました」
S先輩からもらったリップは、ハイブランドのクリスマス限定名入れサービス仕様でした。実はそこにあった名前は、先日店で接客したS先輩と同じデザインのシャツを購入した女性が、メンバーズカード発行の際に記載した内容と一致していたそうです。不運にも美玲さんの予感は的中していました。