奨学金は学費に充てるというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?実は、奨学金の使い方には厳格な制約は設けられていない場合がほとんどです。したがって、実際には学費以外にも使っている学生も多いのが現状です。そこで今回は、奨学金のおもな使い道について、実際のアンケートなどをもとに紹介します。

奨学金を学費に使っている場合の内訳は?

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奨学金を受け取るのが大学生の場合、おもに「入学金」「授業料」といった学費が必要です。それでは、それぞれの概要や具体的にどの程度の金額が必要なのかチェックしていきましょう。

入学金

文部科学省が調査し発表した「国公私立大学の授業料等の推移」(2019年)によると、大学入学時に必要な入学金は以下の通りとなっています (国立大学は標準額。公立大学は地域外からの入学者の平均、私立大学は平均)。

大学の種類 入学金の金額
国立大学 28万2,000円
公立大学 39万2,391円
私立大学 24万9,985円

授業料

大学に通うには、1年ごとに授業料を支払わなくてはいけません。同調査によると、2019年度の大学の授業料は、学校の種類別にまとめると以下の通りになります。なお私立大学のみ2018年度の金額です(国立大学は標準額。公立大学、私立大学は平均)。

大学の種類 授業料の金額
国立大学 53万5,800円
公立大学 53万8,734円
私立大学 90万4,146円

大学初年度は入学金と学費に上記の金額がかかります。入学初年度の奨学金の使い道は、これらの学費に優先して充てるようにしましょう。

奨学金を何に使っている?

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奨学金の使い道について学生に対してアンケートをとっている大学もあります。

2015年青山学院大学が奨学生に行ったアンケート(複数回答)によると、奨学金の使い道として学費と答えた人が約71 %、次いで生活費が42%となっています。そのほか、書籍代が36%、定期代24%、部活動費用15%、資格の取得14%の順となっています。

また、法政大学の「2019年度学生生活実態調査報告書」によると、「奨学金の使途は何ですか?(複数回答可)」との質問に対し、学費と答えた学生が81.5%、続いて通学費22.2%、食費21.8%、住居費16%、図書・教材費13.7%、サークル費5.6%となっています。

以上のようなことから、どの大学も同じような傾向にあることがわかります。また、これらのアンケートの傾向を見ると、実態として学費に充てるのはもちろんこと、それ以外の用途に奨学金を使っている大学生は決して少なくないことが分かります。