その場のノリだけで始まった芳賀ゆい企画だったが、多くのマスメディアに取り上げられ、ソニーまでもが食いついたことで、伊集院は戸惑いを覚えることになる。

「(報道は)どこでもそうなの。『とある深夜番組のパーソナリティが発案し、今やニッポン放送イチのスーパーアイドル芳賀ゆいちゃんは』ってなってる。え、オレ、いなくない? って。オレの妄想の生み出したほうだけが、どんどん商品価値が上がっていって、オレ追い詰められ始めて」

 一時は生放送で「(芳賀ゆいは)死んだ」と言い放つことも考えたという伊集院だったが、最終的には「突然、留学をした」という形でプロジェクトを終えている。

 のちに「バーチャルアイドルの先駆け」という評価を得た芳賀ゆいプロジェクト、その企画をスタートさせたとき、伊集院はまだ21歳だった。

(文=新越谷ノリヲ)