◆どの仕事もすべてがつながっていき、糧になる
――演じるという意味では普段と同じかと思いますが、アニメーションならではの難しさはありましたか?
木戸:ルイが少年心に戻るところは難しかったです。急にテンションが上がったり、ふたりに久しぶりに会えて飛び跳ねて喜んでいるシーンでは、当初自分が思う声を当てたとき、ルイのテンションに追いついてない、絵と声が分離している感じだったんです。自分が普段お芝居をしているときよりも、もっと大きな表現でみせないと足らない場面がありました。なので、普段とは違うアプローチでお芝居をしました。
――初挑戦も踏まえて、ご自身にとってはどういう作品になりましたか?
木戸:僕自身、役者はジャンルが違うどの仕事もすべてがつながっていき、糧になっていくという考え方をしています。いろいろなジャンルの仕事を今後もやっていきたいと思うなかで、今回の初めての声優業というのは、大きな体験でした。
特に山田監督の作品は人物の感情の変化を大事にされているので、僕が今度この経験を経て、ドラマや映画、舞台で演じるときに活きてくると思います。今回は声だけで表現しましたが、自分でもこういう声が出せるんだと気付きもあったので、またひとつ役者として成長させていただけた大きな作品です。
◆キャリアのスタートは子ども番組
――声優の経験がお芝居にも活きるという考え方は、仕事の向き合い方としてとても素晴らしいと思いましたが、いつ頃からそのような意識で仕事をされているのですか?
木戸:僕のキャリアのスタートが、子ども番組から始まっていることが大きいです。その当時は役者として活動している中で、20歳でレギュラーをいただけたことはありがたかったのですが、その分どこかで俳優業が止まってしまった感覚を持っていました。
けれども、番組のステージで小さいお子さんや親御さんと触れ合っていくうちに、情報番組でレポーターをしたとき、同世代の俳優の方々ができていないことが自分にはできているという感覚に変わったんです。