物語の展開と合わせて目が離せなかったのが、櫻井翔の得体の知れない笑顔。クリーンで完璧なイメージなのに、人間としての本質や意志が感じられない――まさにマトリョーシカのように張り付いたその笑顔には、不気味さを覚えぞくっとしました。ハマりすぎでしょう! それもそのはずです。原作の早見氏は櫻井をイメージして書いたというのですから。
政治家としての“仮面”を完璧にかぶる人物を、櫻井も完璧に演じています。そして一転、最終回で「見くびるな」と、はじめて自身の心情を吐露した見せ場は圧倒的。俳優・櫻井の力を見せつけました。
◆南くんが恋人!?
最後にベテラン脚本家の力を見せつけられた作品を2つ。まずひとつ目は岡田惠和氏脚本の『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)です。
1987年に刊行された内田春菊の人気漫画『南くんの恋人』が原作で、これまで何度もドラマ化されてきた作品を、初の男女逆転バージョンで映像化。主演のちよみ役を若手注目株の飯沼愛が、小さくなってしまう恋人の南くんを八木勇征(FANTASTICS)が演じました。
◆ただの令和版にあらず! 優しさに溢れた世界に涙
30年前の高橋由美子&武田真治主演のドラマも記憶に残っている筆者は「時代に合わせて男女逆にしたのか……どうせ若い子向け」と決めつけていたのですが、見事に裏切られました。まず、人が小さくなるというファンタジーに困惑しながらも、好きな人と四六時中一緒にいられることが幸せなふたりがとにかく愛おしい! 飯沼&八木が、好感度高く演じていました。