さらには、同年の性的暴行件数に関しては、アメリカのライドシェア企業は1年間で998件と、日本のタクシーの19件を大きく上回る結果であると記した。

◆良くも悪くもいろんな人がドライバーになれてしまう

 いくら輸送回数が異なるとはいえ、性的暴行件数の違いには驚きを隠せない。日本のタクシーでも言えることではあるが、性被害を警察に話すことは容易ではない。泣き寝入りするケースも珍しくないことを鑑みると、この数字以上の被害が出ている可能性は高い。

夜のタクシー
 ライドシェアでは、タクシー会社のドライバーになるよりも簡単にタクシードライバーになれる。企業が吟味して採用した人物ではなく、良くも悪くもいろんな人がドライバーになれてしまうことが、性的暴行の多さにつながっているのだろうか。また、ドライバーを監視するシステムについても、タクシー会社との違いは大きそうだ。

◆「夜でも安全な日本のタクシー」は世界でも珍しい

 そもそも、答弁書内の数字が示す通り、世界的に見ても日本のタクシーの安全性はとても高い。お隣の韓国でさえ、深夜に女性が1人でタクシーを使う時はかなり警戒すると聞く。車内で寝るようなことはまずしないし、記録が残る配車アプリを利用して流しのタクシーは使わないよう心がける人が多い。さらには、家族や友人に「今○○社の○○という運転手のタクシーに乗ったから、もし○時になっても私から連絡がなかったら通報して」と連絡することもあるという。

タクシーを呼ぶ女性
 もし日本でライドシェアが全面解禁になれば、今の安全性は失われる恐れが高く、これまで抱く必要がなかった不安感を抱かなければいけなくなる。小泉はこういった現状を理解したうえで、全面解禁を進めようとしているのか疑問だ。

 ライドシェアだけではなく、解雇規制の見直しも検討している小泉。構造改革と称して非正規雇用を増やしてワーキングプアを多く生み出した父親同様、小泉が首相になると日本の雇用状況はますます悪化するかもしれない。メディアに取り上げられやすい人物だからこそ、小泉の掲げる政策にはより注意深くチェックしなければいけない。