「菅野は来月35歳で、一番良い時期の移籍とは言い難いですが、過去の日本人選手を見ると、斎藤隆は36歳でメジャーデビューして40代まで活躍しました。また、上原浩治や黒田博樹が渡米したのも30代半ば。38歳のダルビッシュは昨年、新たに6年契約を結ぶなど、投手の選手寿命はどんどん延びており、35歳なら十分チャンスはあります。菅野は甲子園で酷使された経験もなければ、プロ入り以降も先発はほぼ中6日。2019年以降は年間140イニング程度しか投げていません。また、今シーズン、最多勝と最優秀勝率の2冠が取れそうで、巨人が優勝すればMVPは菅野でしょう。日本シリーズでも活躍してチームが日本一になれば、誰も彼のメジャー挑戦を止めることはできません。年俸は現時点で4億円(推定)ですが、メジャーなら最低でも倍にはなることが予想されます」(同上)

 ただ、菅野には特殊な事情もある。プロ野球ファンには周知の事実だが、彼は原辰徳氏の甥っ子。巨人にとっては特別な存在だ。

「菅野は大学卒業時、ドラフトの抽選で日本ハムが指名権を獲得し、1年の浪人を経て相思相愛で巨人に入った経歴の持ち主。さらに選手として立派な成績を残し、“伯父が原辰徳”というスペシャルな肩書もある彼は、超有力な球団の幹部候補です。原辰徳は現在『特別球団顧問』というポジションに収まっていますが、彼も将来、同等かそれ以上のポジションが与えられるのは間違いないでしょう。しかし、メジャーに行けばその権利は失われます。わかりやすく言えば、巨人に一生、面倒を見てもらえる権利を捨てるということ。読売グループは新聞やテレビを抱え、メディアで絶大な権力を持ちますが、万全の後ろ盾を失うということです。菅野の実力ならメジャーでも2ケタは勝てるはずですが、ボール、球場、移動、言葉、食事など、向こうでプレーする際の不安要素はいくらでもある。安定を取るか、夢を選ぶか、究極の選択でしょう」(週刊誌スポーツ担当記者)