ただ、それは晩年の紫の上や、もともと男性にあまり期待していない花散里など、女性側が光源氏のマインドコントロールに振り回されなくなったケースであって、熱愛中の話ではないはずです。やはり『源氏物語』は、運命の愛を求めようとして得られない男女の行き違いと苦悩の物語だといえるのではないでしょうか。