兵庫県神戸市にある大工道具の博物館「竹中大工道具館」では、開館40周年記念企画展「日光の彩色と金工-社寺建築の美しさの謎を解く」を、9月14日(土)〜12月15日(日)に開催する。
日本で唯一の大工道具の博物館
竹中大工道具館は、大工道具を収集・保存し、研究や展示を通じて後世に伝えていくことを目的に設立された、登録博物館において日本で唯一となる大工道具の博物館だ。
常設展は7つのコーナーに分かれており、唐招提寺金堂組物の実物大模型、五感に響くハンズオン展示などを通して大工道具の魅力を伝えている。また、博物館そのものが「匠の技の数々を肌で感じてもらえる場」となっており、建物の各所には大工や左官、瓦師などによる伝統の職人技がちりばめられ、人と自然をやわらかくつなぐ存在としての「和」の建築を楽しめる。
日光の社寺を彩る装飾技術の「彩色」と「金工」に着目
世界遺産「日光の社寺」は、国宝9棟、重要文化財94棟の文化財建造物を中核とする日本が世界に誇る文化遺産。17世紀の日本を代表する天才的芸術家の作品群といわれ、当時最高水準の建築技術によって作られた。日光東照宮や日光山輪王寺大猷院などの圧倒的に絢爛豪華な建築装飾が最大の魅力だ。
これらの建造物は、伝統的な技と技術、そしてそれらを活かす知識を確実に継承し、保存修理を繰り返してきた匠の力によって、今日までその輝きを保っている。こうした「伝統建築工匠の技」は、2020年12月にユネスコ無形文化遺産として登録された。
「日光の彩色と金工-社寺建築の美しさの謎を解く」では、東照宮下神庫建築彫刻4点、彩色作品9点、彩色図6点、錺金具15点、東照宮陽明門組物模型、制作材料・道具など、約100点を展示。日光の社寺を彩り、比類のない豪華さときらびやかさを際立たせている装飾技術の「彩色」と「金工」に着目し、その美しさの謎に迫る。