◆適切な行動も、時代が変われば“不適切”になる

原作・中川瑛さん(以下、中川):親から子へ、そして大人から子どもへのハラスメントに関して、私の考えは少し複雑です。社会の常識や環境が変化していく中で、親が子どもに伝えるべきことや、子どもたちがどのように振る舞うべきかという観点も変わってくると思います。

例を挙げると、例えば新卒一括採用社会なのかどうかや、男女雇用機会が不均等なのかどうか、そういった環境次第で、どういった教育が適切かというか、子どもためを思うと良いか、というのは変わっていくと思います。その時々で、正しい教え、これで子どもが生きやすくなるはずだと信じてとった行動が、社会の変化に伴って違ってしまう、ということは容易に想像できます。

善悪とか、良し悪しというのは本当に変わっていきます。環境問題や社会の持続可能性を考えた時、私たちの現在の行動が未来世代にどのような影響を与えるか。今私たちが普通だと思っている行動が、将来的には疑問視され、批判されるかもしれません。例えば、食肉・畜産業や、飛行機の利用やプラスチック製品の使用、安価な服の購入などは、今は日常的な行動かもしれませんが、これらが地球の持続可能性を損なう行動として将来批判される可能性があります。