◆母の体調が心配

筆者のもとにたびたび届く話では、健康食品を肌に塗ったり目薬のように使ったりと、「なんでも治る魔法の万能薬」かのように謳われているケースも多々あった。消費を促すために行われる創意工夫は、はたから見て異様である。

「母も、妹が勧めるがままにマルチ商法の健康飲料の類を頻繁に摂取していたんですよね。すると、ずっと喉がつかえるようになったと訴えるようになって。喉や食道、腸の状態を検査しましたが……これといった異常は見つかりませんでした」

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真子さんの実家は医者一家である。父、兄、弟、親戚一同、何かしらの医療職に従事している。なので真子さんも、事あるごとに「喉を見てほしい」と母から頼まれる。

「そうしているうちに、母の腕の内側に、原因不明の“ただれ”が出はじめました。なのでやんわりと、妹の持ち込むものを口にするのはやめてほしい、と説得しました。するとしばらくして、ぴたりと症状が治まったんです。私は妹が持ち込んだ健康食品が関係していると思うのですが、妹はコロナワクチンの後遺症だと主張しています」

家族以前に、なぜ医師としての立場からも「やんわり」なのか? 強くやめろと言えないのか?

それは、否定すると妹が大暴れするからなのだ。いまにはじまったことではなく、昔からだった。「妹のやることを無下に否定するとめんどくさいことになる」というのが、真子さん一家では暗黙の了解となっている。

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大学生時代はこうだ。真子さんが失恋して落ち込んでいると、妹が幾度もこうもちかけてきた。

「すごい先生のところに、復縁のお札をもらいに行こうよ。効果あるって評判なんだよ」

興味もないし、いい加減しつこい! つい怒ってしまうと、「お姉ちゃんに罵られた! 占いの先生にいいつける!」そう泣きわめき、家を飛び出してしまった。唖然と見送ることしかできない。