◆健全な成長と、問題行動の区別をしっかりつけよう

「ただの遊びでしょ?」「男の子だから仕方がない」

 子ども同士の性的な問題に、大人はついこのようなセリフを言いがちです。確かに、大人の性犯罪とは意味合いが異なる部分も大きいでしょう。異性や異性の体に興味を抱くのも、成長過程で必ず通る道です。

 でも、内容次第では、不快感や恐怖心などがその後の人生に大きな影を落としてしまうことを、大人は今一度意識しなければならないと、ゆっぺさんはマンガをとおして訴えます。

我が子が被害者に、そして加害者にもならないために、「自分のプライベートゾーンは触らせない。相手のプライベートゾーンは触らない」「性的な発言、行為は相手に不快感を与えること、なぜいけないのかをきちんと説明する」こと、そして、健全な性的発達と問題行動の境界線を正しく判断できる知識を養うことが、親子ともに必要なのかもしれません。

◆「隠れた被害者がこんなにいるんだと驚きました」

 作者のゆっぺさんは、次のように語ります。

「寄せられたメッセージには様々な性暴力、性被害の様子が書かれてあり、中には目を覆いたくなるような体験談も送られてきました。隠れた被害者がこんなにもいることに、ただただ驚きました。

 今回、私が描いたのは『子ども同士』の性被害でしたが、大人から受けた性虐待を含めると、その数は計り知れません。

 被害者は口を揃えて『一生忘れることは出来ない』と言います。

 幸いにも私は、トラウマも無く暮らせていますが、当時の記憶は死ぬまで忘れることはないでしょう。

 でも悔しいことに、加害者は忘れてしまっているんですよね。

 被害者に対して『自意識過剰だ、考えすぎだ』などと本気で言っている大人がいることも事実です。

 一生苦しむ女性がいることなんて、想像できないのでしょうね……。

 日本は性教育に後ろ向きなところがあるので、子どもは被害に遭っても話せないし、そんな子どもがいる事実さえ知らずに過ごしている大人も沢山いると思います。

 でも、子ども同士の性的な問題行動・性被害は起こり得ます!

 まずは大人がそれを理解し、子どもへ教えていかなければならないのではないでしょうか」