◆体と心はつながっている

40~50代になると、予期せぬ病気やケガが急に身近になりませんか。本書でも、夫の急病をきっかけに普通の暮らしができるありがたみを意識しはじめます。

しかも、体が弱ると心まで弱るのです。年を重ね、老いていくのは自然の摂理で、誰にでも平等にやってきます。病気やケガもまた然りです。

夫の体に障害が残ったらどうなるのか、どうしたらいいのか。答えのない疑問には、日々少しずつ積み重ねる努力でまかなうしかありません。

幸い、わたなべさんのご主人はすっかり完治し、日常生活に戻れたといいます。しかし「突然変わってしまう日常」を経験してから、ウォーキングを再開して体力づくりに努めました。いざとなったら体が資本、足腰が丈夫なら、心も前向きになる気がしませんか。

◆御朱印帳の新たな魅力とは

ある日、わたなべさんのもとに御朱印帳が届きました。なんと、知人がデザインしたオリジナルです。とはいえ御朱印集めが趣味ではないわたなべさん、代わりに集めたのが友人知人のサインです。

「仕事やお世話になった人や友達からサインをもらう」という行為が、「いい終活になるかも知れない」ととらえたのです。

ネガティブなスタートかもしれないと、わたなべさんは自覚しつつもやってみたのですが、これが「とてもおもしろかった」!

年賀状や暑中見見舞い、手書きのグリーティングカードを送る機会が激減している昨今、手書きのサインはいわば真心のかけら。肉筆はあたたかく、気持ちがダイレクトに伝わるのでしょう。

物を減らしたり、暮らしをコンパクトにしたり、健康に留意して、計画的にお金を貯める。物理的な“備え”と、心の栄養のための“備え”。両方うまくバランスを取るやりかたを、無理なく楽しく、ちょっぴり真面目に指南する本書。

「やっとこっかな」をつぶやいて、人生をかろやかに歩いていきませんか。

<文/森美樹>