この物語において、有村さん演じる弥生の“気迫”が感じられたのは第3話。
夏、海、弥生の3人でお出かけして祖父母宅に帰宅した際、心配していた朱音が「大丈夫でした?」と尋ねると、弥生は笑顔で「はい、楽しかったです」と即答。これが朱音の逆鱗に触れてしまいます。
朱音は弥生に対して、つい「子ども産んだことないでしょ?」と詰問。弥生は驚き、「ありません」と答えるのが精いっぱい。火が付いてしまった朱音は懇々と子を産む大変さや育てる大変さを語りますが、弥生もひるみっぱなしではありません。「でも……本当に楽しかったです。ありがとうございました。私まで一緒に」と最後は微笑んで見せたのです。つ、強い……。
このシーン、劇中では朱音と弥生という強い芯を持つ女性同士の衝突でしたが、メタ視点で考えると、大竹さんと、実力派に脱皮しようとしている有村さんの演技合戦としての見応えもあり、かなり引き込まれました。
◆後悔を滲ませながらも強さもやさしさも宿した声
第6話には、有村さんの演技で涙腺崩壊するシーンが……。
堕胎するつもりだった水季が翻意して、産み育てると決意した理由が描かれた回想シーン。
水季は中絶手術のために訪れた病院の待合室で、受診している女性たちが書き綴る「ご意見ノート」を見つけます。そこには、中絶後のとある女性の《どちらを選択しても、それはあなたの幸せのためです。あなたの幸せを願います。》という言葉があり、水季は心打たれて出産したいと思うように……。
このノートの女性は手術直後の弥生だったのです。弥生と水季は一切面識がないのですが、自身が綴ったメッセージによって海がこの世に生を享け、その海がいま目の前にいるという運命的な展開。
このメッセージは有村さんのナレーションで語られるのですが、後悔を滲ませながらも強さもやさしさも宿した声の演技、鳥肌ものでした。