反社勢力の一網打尽なんて朝飯前という、ちさと&まひろの無敵ぶりをスピーディーに描いたプロローグから、アニメーション化された2人がダンスするオープニング映像へ。「池袋のシネマ・ロサから始まった、あのインディーズ映画がこんな立派なTVドラマになって!」という感慨で、胸がいっぱいになった『ベビわる』ファンは少なくなかったと思われます。

『ベビわる』が支持された社会背景

 テレ東の深夜ドラマらしく、「飯テロ」シーンがガッツリと盛り込まれています。ちさとがキッチンで鍋料理を作っていると、そこへ血まみれのまひろが帰ってきます。不審な男に尾行されていたので、返り討ちにしたとのこと。死体(草川拓弥)をそのままにしておくわけにもいかず、夕食を後回にして2人で死体処理に向かいます。

 劇場版1~2作では、ちさととまひろがケンカするシーンもありましたが、TV版ではすっかり仲良しで、バディ感が完成されています。死体をとある冷蔵室まで運び込みながら「10年後も一緒に死体を凍らせよ♪」と笑顔で約束する、ちさと&まひろでした。

 なんで『ベビわる』が配信ドラマ全盛の現代社会で人気を集めたのかというと、スクリーン映えするアクションの迫力に加え、学校を卒業してもまともな就職先なんてどこにもありませんという今の若者たちが感じている働きづらさ、生きづらさといった社会背景があると思うんですよ。コロナ不況以降、派遣切り、雇い止め、闇バイトといったネガティブワードがすっかり普及しています。ましてフリーランスとして働く労働者には、仕事を選ぶ余裕はありません。

 そんな世知辛い世の中で、信頼できて、頼りになるパートナーが横にいてくれる。こんなにもうれしいことって、他にはないと思うんですよ。第1話の最後、予想外の仕事を終えたちさと&まひろは、ようやく朝ご飯にありつきます。昨晩、ちさとが用意してくれたのは「トマト入り塩豚汁」でした。温め直した豚汁とおにぎりをおいしそうに口にするまひろでした。