「托卵」は思ったよりもわれわれの身近に存在するようで、2005年にイギリスで発表された研究では「25人に1人(約4%)は父親が違うケースがある」とされ、「生まれてきた子どもの平均10%は托卵によるもの」とする海外の研究もある。日本においても、元・光GENJIの大沢樹生が、元妻との結婚中に生まれた長男と血縁上のつながりがないことが判明し、2015年に裁判で「親子関係がない」と認める判決が出された騒動があった。

 最近、メディア上で「托卵妻」「托卵女子」といったワードが取り上げられていたこともあり、「生々しい」と感じた人が多かったことで反発の声が目立つ状況となったのだろう。

 今作はスタート前から厳しい目にさらされそうだが、この状況を打破する可能性を秘めているのが主演の松本だ。松本は2022年のドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系)でクセの強い役柄を好演したことでブレイクし、現在放送中のTBS系『西園寺さんは家事をしない』でゴールデン・プライム(GP)帯の連ドラ初主演を飾った。

 発売中の「女性セブン」(小学館)によると、『西園寺さんは家事をしない』は企画段階で別の女優がキャスティングされていたが、途中で松本が“代打”として出演することになったという。

 さらに、今回の『わたしの宝物』も当初は別の「悪女の演技に定評がある女優」が主演する予定だったが、急きょ降板したことで松本がピンチヒッターになったという。一部では「深澤くん(実年齢32歳)と松本さん(実年齢40歳)が幼なじみの設定なのは年齢的に無理がある」との声があったが、これは急なキャスト変更の影響なのかもしれない。

 GP帯のドラマで相次いで「主演女優の代打」に起用されるのは、それだけ彼女の演技力が高く評価されている証拠といえるだろう。結果として2期連続の連ドラ主演が確定するという絶好調状態になっており、この勢いがあれば賛否分かれる「托卵ドラマ」をヒットへと導くことができるかもしれない。