◆目黒蓮のフェイスライン、よけいに悲劇的に見える

(C)フジテレビ
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一方、第9話では、やっぱり病み上がり(?)の目黒蓮に注目したい。たった一週空けただけで、顎(あご)のラインが変わった気がする。もともとしゅっとした面長フェイスがひとまわり細くなった気がしないでない。だからよけいに、悲劇的に見える。

お互い嫌いじゃないのに別れなくてはならない悲しみを全身で背負う夏。

女性が望まない妊娠をした場合、身も心も大きなダメージを被ることに対して、男性はそこまでのリスクを負うことがないと、ドラマのなかでも語られていた。第5話、「男だからサインしてお金出してやさしい言葉かけて、それで終わり。からだが傷つくこともないし。悪意はなかったんだろうけど。でもそういう意味なの。隠したってそういうことなの」とたったひとりで生んで育てた水季のことをゆき子(西田尚美)は慮(おもんばか)っていた。

望まない妊娠をした女性もつらいが、恋人や夫の浮気によって子供ができたため子供を生んだ女性を選ばれた女性もやりきれない。もうひとりの女性に子供ができたから別れてくれ、みたいな展開はこれまでドラマでは少なくなかった。その女性の悲しみに焦点が当たり、女性が共感するものが多かった。が、今回は男性に女性の悲しみがガンガンとぶつけられる。

Back numberの主題歌が流れるなか、滂沱(ぼうだ)の涙を流す夏は、女性だけの傷の痛みを千の矢達を浴びるように全身で引き受けているようである。全、傷ついた女性の痛みを全、女性を傷つけてしまった男性を代表して、目黒蓮がその身に受けている。まるで民の苦しみを背負うキリストのようであった。

夏は悪い人ではないし優しいけれど、弥生が海のお母さんになってくれたら楽だと思ってしまったのも事実で、その思いやりの欠けたことによって、弥生は去っていくのだ。

◆夏の背中は最終回のようでもあった