正直なところ、注文した後に気掛かりとなっていたのは、鰻のサイズはどうなんだろう、ということ。

 筆者はかつて会社員として都内に勤務していた際、「名代 宇奈とと」に行く機会がそこそこありましたが、最も安い「うな丼」(590円、筆者が訪れていた時期には500円だったと思います)では、鰻がかなり控えめなサイズで出てきた記憶がありました。

 もちろん、それと比べると1,000円以上の価格差があるとはいえ、あまり大きなサイズではないだろうな……と思っていたのです。しかし、実際に提供されたものは、ついつい視線は重箱からはみ出ている鰻のしっぽの部分に釘付け。

 「あれ、一番安いの頼んだよな……」とついつい伝票を確認してしまいました。「いや、もしかするとしっぽを敢えて出しているだけで、中はスッカスカだったりするのでは……」と邪推をしながらフタを開けてみると、胴の部分が逆サイドの重箱の端にくっつくほどのしっかりとした大きさの鰻が登場。1,600円であることを考えれば、かなりのお得感があると言えるでしょう。

 味のほうは、上で述べたパネルに書いてあった通り、ふっくらと蒸しあげられつつも、しっかりの焼き目がついた鰻がサクフワの食感で、脂の乗りもちょうどよく、上質な白身魚の味わいとジューシーさが合わさって、まさに幸せそのものといった味わい。

 筆者のあまり多くない鰻重経験の中では、お高めの店にも引けをとらないものでした。

お吸い物。この写真だと見えにくくなっていますが、お麩のほかにわかめも入っています
わさびとねぎ、生姜の甘酢漬け、きゅうりの漬物が添えられていました

【鰻の成瀬】薬味のわさびとねぎで食べるのも最高

 はじめのうちはそのまま食べた後、卓上調味料として備えられていた山椒で“味変”にトライ。こちらも爽やかな風味が足されて鉄板とも言えるおいしさです。

鰻に山椒を乗せるのは鉄板のおいしさでした

 さらに、提供された際に店員さんが「鰻と一緒にお召し上がりください」と言づけられた薬味のわさびとねぎを付けて食べるのにも挑戦。