「たくさん肉を食べてください」という話をすると、コレステロールのことを気にされる方がいらっしゃるのですが、そこには大きな誤解があります。

 健康診断などでコレステロールが高いと指摘され、食事に気をつけるように指導されているという人はいまだに多いのですが、そもそも女性の場合、閉経後にコレステロール値が高くなるのは女性ホルモンの減少によるものなので、言わば一種の生理現象なのです。

 そして、コレステロールを下げたほうがいいとされるのは、それが動脈硬化を促進し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まると考えられているからです。しかしながら、日本では欧米と違って急性心筋梗塞で亡くなる方は、がんで亡くなる方の12分の1しかいません。

 さらに言うと、女性の場合、急性心筋梗塞が原因で亡くなる人は男性の半分程度。だから、女性はコレステロール値を制限する必要はないという声も多く、私もその意見に賛成です。

 女性の場合は基本的にコレステロールを下げるメリットはほとんどないと思います。

◆コレステロール不足で生じるデメリットとは?

コレステロール値
 それどころか、コレステロール値を下げすぎることで生じるデメリットのほうは、驚くほどたくさんあります。

 まず、コレステロールは男性ホルモンと女性ホルモンの両方の材料になるので、それが不足すれば、当然これらのホルモンの分泌量も減ってしまいます。

 男性ホルモンは女性の体内にも存在し、意欲や行動力を高めるもとになります。60歳以降の女性を元気にするホルモンでもありますから、その材料が不足すれば、せっかく元気になるはずなのに元気になれないということが起こります。

◆女性ホルモンの減少で骨粗鬆症になりやすくなる

 また、ただでさえ年齢とともに減っていく女性ホルモンがさらに減るとなれば、肌のツヤが失われるといった美容面でのトラブルは避けられないでしょう。

 女性ホルモンが減ることでの深刻な問題としては、骨粗鬆症になりやすくなるということがあげられます。