今、世界の幼児教育で「非認知能力」が大きく注目されています。非認知能力とは頑張る力や忍耐力、ほかの人とうまく関わる力など人生において重要な力のことです。非認知能力を育む方法や子供との接し方のポイントを解説します。
「非認知能力」とは? なぜ世界で注目されているの?
「非認知能力」と聞いても、あまりなじみのない言葉なので、どのような能力を指すのか、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか。なぜ今、注目されているのかも踏まえて「非認知能力」について説明します。
非認知能力とは
非認知能力とは、 読み書きや算数などのIQでは測定できる「認知能力」に対して、テストや学力では測れない力のこと です。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマンらによると、非認知能力は想像力や好奇心などの「開放性」、忍耐力や責任感などの「勤勉性・誠実性」、積極性や社交性などの「外向性」、周囲と同調できる「協調性」、外部刺激に対する不安を抑える「精神安定性」に分類されるといいます。
非認知能力は、失敗から学べる、自分で考えて行動できる、価値観の違いを柔軟に受け止められるなど生きていく上で必要な力なのです。
非認知能力が重要とされる科学的根拠
非認知能力が注目されるようになったきっかけに「ペリー就学前計画」という社会的調査があります。経済的余裕がなく幼児教育を受けられない貧困家庭の3~4歳児に、平日2.5時間教室での授業と週末には1.5時間の家庭訪問が実施されました。対象となった子供が40歳になるまで追跡し、教育的介入がされなかった子供と比べてどのような違いが生じるかの調査を実施。
すると、大学入学・犯罪率・就職・収入・持ち家率などに優位な差が認められました。さらに注目するべきポイントは、学力的な差が10歳時点でなくなっているということ。小学校入学後数年間は学力的な差があったものの、10歳には教育的介入されていない子供が追いつく形になったのです。この調査結果から、大人になってからの生活への差は、幼児期にIQなどでは計測できない能力、「非認知能力」が影響しているとジェームズ・J・ヘックマンは報告しています。
幼児期に「非認知能力」を鍛えるべき理由
では、なぜ幼児期に「非認知能力」を育てる必要があるのでしょうか。その理由と非認知能力の育て方をみていきましょう。
非認知能力のベースは3歳ごろまでに作られる
非認知能力の土台は、3歳ごろまでに作られ、幼い時に身につけることでいい影響がより長く続きます。幼児期にどれだけ多くの経験や脳への刺激を与えられるかが重要であり、幼児期はさまざまな能力を高められる大切な時期です。
「非認知能力」の育て方
非認知能力を育てるには、幼児期の教育や環境が重要になってきます。教育とはいっても難しいことをする必要はなく、子供との関わりの中で少し意識を変えればいいのです。以下のように子供の意思を尊重し、子供が主体的に動ける環境を作ってあげることが非認知能力を高めていくことにつながります。
- 子供がいつでも安心できる環境を作る
- 子供が興味を持ちやりたいことは口出しせずにそっと見守る
- 子供の失敗や成功に共感し寄り添う
- 子供の行動を否定するのではなく提案する