◆テレビの密着取材で自分と向き合う日々
まりいちゃんが5歳になった頃、ダウン症にまつわる密着取材を行っていたテレビ局から、取材の依頼がありました。
取材は数ヶ月間、10回以上にも及んだといいます。
この時の経験を瑞穂さんは「家族の等身大の日常が記録されていく毎日や、番組ディレクターとの対話は学びの多い時間でした」と話してくれました。
「ディレクターさんからはたびたび、『ガードナーさんは何かしたいことはありますか?』って聞かれて。その時は『みんなの意識を変えたい』って答えたんです。障害のある子への偏見をなくしたいって。
でもそれがすぐには伝わらなくて……。
取材を重ねるうちに、ディレクターさん自身も変わっていきました。最後には『ダウン症って何なんだろう、自分でもわからなくなってきました』なんて(笑)。1人のまりいちゃんとして見てくれているように感じて、私も彼も、お互いに学び合えた旅のような、貴重な時間でした」
あるとき、取材中にエイデンくんの不登校経験についての話になり、手作りした絵本を見せると、「これいいですね」と、読売テレビの報道番組「ウェークアップ」で紹介してもらえることに。さらに、動画絵本にして、放送局公式YouTubeチャンネルで流してくれたのです。今では3万回もの視聴回数に。この番組と動画を見た出版社の編集者から、出版のオファーが舞い込みました。
「番組を通して依頼が来たので、ディレクターさんが『怪しくないか、僕がお話聞きますから待っててください!』って(笑)。ここまで親身になってくれるのもすごいですよね」
瑞穂さんの人柄が、周囲を動かしていったのかもしれません。出版を依頼した編集者も、ダウン症のお子さんがいる方だとわかり、「さすがにできすぎのストーリー!と、びっくりしました」と瑞穂さんは笑います。