しかし、契約事項に「ルーカスのアイデアを必ずしも取り入れる必要はない」「ルーカスは新作を酷評してはならない」とあることを理由に、ルーカスのアイデアは却下され、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)以降の作品はルーカス抜きで制作されています。『フォースの覚醒』のプレミア上映に出席するのをルーカスは嫌がったそうですが、無理矢理に出席させられた上に、満席の会場からの拍手を浴びるという目に遭っています。そのときのルーカスはどんな心情だったのでしょうか。ま、ルーカスがお金で売ってしまったから、仕方ないんですが。

 ちなみにピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、20世紀スタジオの買収劇を次々と成功させたのは、ロバート・アイガーCEO。2020年に一度引退したものの、コロナ禍によるテーマパーク収益の減少、ディズニープラスがなかなか黒字にならないことから、これまでの辣腕ぶりを買われて2022年からCEOに返り咲いています。米国の大統領選に出馬することも考えていたという、大変な野心家です。

 ポリコレを遵守するのは大変けっこうなことですが、テクノロジーと物語の斬新さでワクワクさせる新作をつくってほしいなぁと思う次第です。

 最後は「ケア・ロボットを今、いちばん必要としているのは2度もディズニーから追い出されたジョン・ラセターではないか」という一文で締めようと思ったのですが、wikipediaを見たところ、すでに別のアニメーションスタジオにジョン・ラセターは収まっているとのこと。いつか「ジョン・ラセター、2度目の逆襲」という新作アニメができようものなら、ぜひ観てみたいと思います。